como

como。スイスに近いイタリア、como。テラー二のcomo。
テラーニを完全に誤解していた。何も見えていなかった。
冷たさなんてどこにもない。









なんて自在に建築を操るのか。

milano

一ヶ月ほど東京を留守にして、やっと落ち着いて家のふとんで眠れるようになって一週間経つか経たないかというところ。
といっても、僕は親から、丈夫で適応力のある身体をいただいたので、どこに行こうがリラックスして楽しめるしぐっすり眠れるのだけど。。
少し時間をかけて、夏に起こった色んなことを、染みこませなくては。衝撃さめやまぬ。ちょうど一年前にスペインとポルトガルに行ったときと同じ。ただ、イタリアの厚みは想像以上。というか想像なんてできてたまるか。だから世界はおもしろい。身の回りも、遠いところも、いつも世界がおもしろいから、ただそれだけで十分幸せだろうと思えることが、とても幸せなことだと思う。
そして塚本先生を見てると、建築家は旅人なんだと思うことも。
少しキザな言い方かもしれないが、建築家は、時間と空間を旅して回る素敵な生き方なんだと。ワクワクする。
というわけでまずはmilano。









まだほんの一部。
facebookにアルバムあり。よろしければ。
http://www.facebook.com/editalbum.php?aid=71636&add=1&flash=1#!/album.php?aid=71636&id=1663444845

旅日記002_目眩_

旅日記2009.08.19-
granada
元塚本研の留学生、tomasが本当に色々と面倒を見てくれて、現地の生活をそのまま体感する。granadaはアルハンブラ宮殿のある丘、洞窟住居と白い街並のサクロモンテの丘に挟まれるように市街地が広がっている。
  
まずは言うまでもなくアルハンブラ。これはちょっとひとつの奇跡なんじゃないか。。こんな一言では片付けられないけれど、明暗と大小のコントラストの作られ方が劇的でかつ自然。目眩のするようなシークエンス。装飾も凄まじいが、建築の大きさに対してあそこまで微細なものが表面を覆っている感覚は初めて。そういう分節の仕方もあるのだ。(これはポルトガルで観られるアズレージョというタイルで覆われた建物でも感じることになる。アルハンブラは究極的だけど)キメの違いが普段の距離感とか、光と影の作り方と微妙なズレを生んでて、それが全然違う空間の印象を与える原因か。当時の設計者という存在に思いを馳せる。もちろん石工にも。
granadaは本当に見所満載。
アルバイシンの丘からアルハンブラの丘、ユダヤ人街やダウンタウン…。サグロモンテの急斜面にへばりついた半洞窟住居は、そこに導入された建築言語と元々の地形や地質のぶつかりあいが、ユニークな家をつくりだしている。本当におもしろい。なかなか経験できない貴重な体験だろう。と思いきや、水泳インスタラクターの家主曰く「水泳の日本代表もこの前来てたわよ」だそう(笑)
  

サグロモンテの生活と、ちゃんとリサーチしてる自分。
 

tomasは自身のプロジェクトもしっかり案内してくれた。
 
一つは街に3つほど点在するパブリックスペースのプロジェクト。豊かな地形の中で3つが距離を超えて互いを指示するようにデザインされている。つくりはとてもプリミティブで、素材と形態のダイレクトな表現。ただ最も暑い時期だったからか、もう少しちゃんとした日除けであればなあと思う。鉄板は熱くて触れないし…一番好きだったのは右端。コンクリートのシンプルなものだけど、人の身体のレイアウトによって日除けの効き方、景色の見え方が変わるのが面白くて知的。
 
もう一つは草原(農地?)の中に建つ研究所兼オフィス。地形とコンテクストにあっていて、複雑な形態も地形との関係の中で無理無く成立している。ハーフミラーを使って、ものや人の距離を操る遊び心にもいやらしさがないのは、その背景でコンテクストの読み込みが感じられるから。(右端の写真、わかります?)
多様な文化や生活様式が混在していて、それぞれにユニークな表情をもち、アルハンブラが鎮座するgranadaを絶賛するも、一方で建築家としてのフラストレーションもあるらしい。改築、新築ともに旧い建物や街並を保存する制度でがんじがらめ、自由な創造は難しい。そして何をやってもアルハンブラがつきまとう。誰もがアルハンブラを見て絶賛する。あんな奇跡が目の前にあって建築家は他に何をやればいいのか。歴史や守るべきもののある場所ならではのフラストレーション。東京の、日本のダイナミズムのなかで建築家ができることはまだまだ開かれてる。その思いはこの旅を通してより強く、より具体的になることになる。
ものすごく楽しみにしていたカンポバエザのグラナダ銀行は残念ながら中に入れず。向かえにできた現代美術館を見学。んー。とても奇麗ではあるんだけど、なんとなく客観視しかできない感じが残る。その空間に自分が参加できていないような。後にシザの建築を見て、そこで感じた違和感は決定的に。光の扱い方にもかなりの違いがあるんだなあ。ペンギンプールみたいな渦状スロープも、自由に各展示室を結ぶという当初想定されていた使われ方はしていないらしく、どういう場所なのかイメージしづらい。まあ他の作品も見たい。
  
写真はかっこいい。ハイウェイに対峙するコンクリートの基壇と細長いボリュームの外観はモニュメンタルで堂々としている。Kさんの「これは超絶プロポーションだね~」の一言に笑う。
そうそう、granadaでベシート初体験。これで一歩スペイン人に近づけただろうか。
-08.20

旅日記001_踊る街_

旅日記2009.08.17-
paris
シャルルドゴール着。コンクリートがきれい。
のびのびして明るい空間が気持ちいい。
乗り換えまで5時間待ち。パリに飛び出したいところだがひとまずは空港に缶詰。なにして過ごそうか。
malaga
 
malagaに深夜着。ホステルの情報は住所のみ。バスを降りる時にとっさに運転手に道を聞いたが、これがなかったら多分たどり着けてなかった。めちゃくちゃわかりにくい。
当初は経由のみの予定だったが、先輩との待合せ時間変更のため、夕方まで街を歩き回ることに。ホステルのまわりは住宅街。街の中心に向かうとちょうどferiaの時期で、街はお祭りどんちゃん騒ぎ。そこかしこでビール片手にフラメンコ。飲んで歌って踊って飲んで。
 
そんな街の狂乱も、一旦のパティオに入ると別世界。とても静かで、白と緑のコントラストの中に小さな家具が散らばっていて、いい居場所ができている。例えば日本の集合住宅にこういう所有の曖昧な空間は作れないものかと思う。うまくいかないのはどうしてか。
 
パティオに面する上階の廊下には色んなものが置いてあってとても生き生きとしている。今はこの廊下を介して何世帯かが住んでいるらしい。案内してくれたアメリカ出身のdennis君は語学留学中。家主のおばあさんはスペイン語で色々建物の説明を熱くしてくれたんだけど、彼の通訳のおかげで200年くらいだったかな、オリジナルのパティオがずっと残っていて、床梁は木で、何回かつくりかえているとか色々な話を聞くことができた。またスペインに来る時はよりなさいと、優しく言ってくれたり。
夕方ますます過激になった暴走状態の街をすり抜けバスターミナルへ。ビーチに行きたい気持ちを抑え、いざgranada。
-08.18