コンペを通して思う

三井のコンペ(3/31締切)を終えて。といっても時間的に提出締切日が終わっただけで、自分が参加したわけではないことを先に言っておかねば。。
一週間ばかりを費やした九州旅行(これだけ短期間に多量の建築を見ると興奮とあまりの情報量に頭がパンクしそう。まだ全然消化できてない)から3/24に東京にもどり、結局実家に帰省する時間とお金が無いことから断念し、ふと思い出した三井のコンペ。締め切り時に帰省予定だったためあまり頭になかったが、なんとか出そうと途中まで考えたこと。
三井コンペ(三井住空間デザインコンペ)は分譲するマンションの一室をデザインするというもの。今回が第5回目で、毎回テーマと面積が異なる。今回はプレファミリーや若いファミリーを対象に親と子が新鮮な感性を育みながら生活するためにうんぬんというテーマ。床面積約80㎡。初見より、子供と親という提示された関係を、いわゆる文字通りの小さな子供と若い親として対象化し、どうやって豊かな関係を持ちながら楽しく生活するかということで考えをスタート。非常に柔らかいテキスタイルのような間仕切りや腰壁による分節、床座中心のライフスタイルの提案などいくつかの方針案…ただ途中で、自分がイメージし、映像化の対象にしていたのが先に言った通り若親と小さな、それこそ幼稚園児とか小学生でしかなく、この物件が賃貸ではなく分譲だということを再認識すると、本質を突かないままイメージだけで終わると確信。
よって方向性が、家族の人数や関係を建築側がfixする状況を乗り越えようという方向にシフト。これは「私たちが住みたい都市」(平凡社)の松山巌×上野千鶴子の討議、「プライバシー」より
○そもそも2DKは賃貸を前提にした仮住まいのモデルであった。
○住宅公団は当初、家族人数の増加による住み替えを想定していた。
○住宅不足、家族の経済状況の中で理想通り住み替えが行われなかった。
○最終的に分譲形式で資金を回収しなければ住宅供給が滞るという状態に変化したことに伴い(1979年、賃貸と分譲の住宅供給が逆転)、仮住まいではなくなったnLDKが家族の構成を事実上制限する装置として働き出す、を背景とする。
nLDK批判というと言いまわし自体がnLDKにのもこまれている気がして好きではないが、家族の構成変化とか関係変化をポジティブに空間化できれば、と思う。もちろん面積的な制限は大きい。
そこで思い当たったのが「梅林の家」/妹島和世、と「ガクハウス」/アトリエワン。両者とも行為に対応する非常に小さい部屋の連続で構成される。家族の人数と部屋のあり方一対一対応せず、行為で空間が分節される。ガクハウスの方は室が直線的に連続するため部屋の隣接関係は変わらないが梅林は開口の操作によって隣接関係を変化させる可能性を持つのではないか。
 
(梅林の家をつくってみたりした。狭いながらも部屋の隣接関係がおもしろい)
室の隣接関係の変化が家族の構成変化を許容し、例えば模様替えみたいに部屋の割り振りを変化させるだけで家自体がまた違った表情を獲得できたり、ものをどう扱うかということと合わせて生活のイメージが説得力を持ってたち現れれば、単身者だけでなく、家族が住む集合住宅、マンションのオルタナティブとして魅力的ではないかと思う。今回は参加できなかったが最終的にどんな作品が評価されるのか楽しみにしていよう。

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