森のホワイエ/横浜国立大学ローカル実践コア拠点

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横浜国立大学における、地域に根ざした教育研究活動を推進する「地域実践教育研究センター」の新たな活動拠点である。物置同然となっていたエントランスロビーを、地域実践の成果を発信し、グループワークやプレゼンテーションなどができる空間に改修した。

改修にあたり、南足柄の林業家杉山精一氏より杉、桧、朴の丸太の寄付を受けた。健全な水系を保つために欠かせない林業を、空間を通して広く伝えたいとの思いからであった。それら〜黒味の強い杉と比較的白い杉の二種類の丸太、桧の小径丸太十数本、一本の朴〜を有効に使って、いかに地域の教育・交流スペースをつくるかが課題となった。また、改修する建物は、キャンパスと外部を結ぶバス通り沿いに建ち、その反対側は、木洩れ陽が美しい森に南面する。ゴルフ場跡地をキャンパスにした名残である。既存ロビーはうす暗く陰鬱な印象であったので、改修にあたっては森とのつながりをより感じられる明るい空間をつくりたいと考えた。

既存ロビー空間は、構造体の凹凸が現れ、壁面いっぱいにレリーフが施されているうえに、トイレや庭、渡り廊下などに通ずる複数の出入り口が集中していたため、展示等に使用できる大きな壁面がほとんど無かった。そこで、空間の形を整え、透明感のある、奥行きをもった展示壁をつくることを考え、展示・収納やイベントなどに対応する多機能の立体格子のような木製構築物を、既存の凹凸を避けるように、既存壁面から角度をつけて挿入した。新たな展示壁は、桧の縦材と杉の横材で組まれ、既存壁から15度振って壁を這い、エレベーターホール側に達する。既存空間と角度をふって設けられた展示壁は、森に面したフルハイトの窓から室内に“流れこむ”ような動きを感じさせるものとなったので、それを強調すべく、縦材の位置を千鳥にずらすなど、よりダイナミックに見えがかりが変化するよう工夫した。板材には朴を用いた。

加えて、新たな活動の舞台として新たに杉の床を設けた。既存建物は床のパタンと壁の仕上げをそれぞれ内外で連続させることで、バス通りと森の連続性を表現していたので、黒と白の二種類の杉材を組み合わせて、既存の外構タイルのパタンを引き継ぐことにした。とは言え、限られた丸太から切り出す材料には大きなバラつきが生じる。そこで、最も黒い杉と最も白い杉をそれぞれ順番に、エントランス側から森側の窓に向かってグラデーション状に並べた。バス通りから連続する床のパタンは、森に向かって薄まり、消えてゆく。

バス通りと森を連続させようとした既存建物の意図を引き継ぎ、森から流れ込む木製の展示壁と床を加え、居場所として設えることで周辺環境を最大限に活かそうとした。周辺環境と呼応することで生まれるその場所固有の空間を追求していきたい。


写真:No.1-23 阿野太一

photo credit : No.1-23 DAICI ANO

森のホワイエ/横浜国立大学ローカル実践コア拠点

横浜国立大学における、地域に根ざした教育研究活動を推進する「地域実践教育研究センター」の新たな活動拠点である。物置同然となっていたエントランスロビーを、地域実践の成果を発信し、グループワークやプレゼンテーションなどができる空間に改修した。

改修にあたり、南足柄の林業家杉山精一氏より杉、桧、朴の丸太の寄付を受けた。健全な水系を保つために欠かせない林業を、空間を通して広く伝えたいとの思いからであった。それら〜黒味の強い杉と比較的白い杉の二種類の丸太、桧の小径丸太十数本、一本の朴〜を有効に使って、いかに地域の教育・交流スペースをつくるかが課題となった。また、改修する建物は、キャンパスと外部を結ぶバス通り沿いに建ち、その反対側は、木洩れ陽が美しい森に南面する。ゴルフ場跡地をキャンパスにした名残である。既存ロビーはうす暗く陰鬱な印象であったので、改修にあたっては森とのつながりをより感じられる明るい空間をつくりたいと考えた。

既存ロビー空間は、構造体の凹凸が現れ、壁面いっぱいにレリーフが施されているうえに、トイレや庭、渡り廊下などに通ずる複数の出入り口が集中していたため、展示等に使用できる大きな壁面がほとんど無かった。そこで、空間の形を整え、透明感のある、奥行きをもった展示壁をつくることを考え、展示・収納やイベントなどに対応する多機能の立体格子のような木製構築物を、既存の凹凸を避けるように、既存壁面から角度をつけて挿入した。新たな展示壁は、桧の縦材と杉の横材で組まれ、既存壁から15度振って壁を這い、エレベーターホール側に達する。既存空間と角度をふって設けられた展示壁は、森に面したフルハイトの窓から室内に“流れこむ”ような動きを感じさせるものとなったので、それを強調すべく、縦材の位置を千鳥にずらすなど、よりダイナミックに見えがかりが変化するよう工夫した。板材には朴を用いた。

加えて、新たな活動の舞台として新たに杉の床を設けた。既存建物は床のパタンと壁の仕上げをそれぞれ内外で連続させることで、バス通りと森の連続性を表現していたので、黒と白の二種類の杉材を組み合わせて、既存の外構タイルのパタンを引き継ぐことにした。とは言え、限られた丸太から切り出す材料には大きなバラつきが生じる。そこで、最も黒い杉と最も白い杉をそれぞれ順番に、エントランス側から森側の窓に向かってグラデーション状に並べた。バス通りから連続する床のパタンは、森に向かって薄まり、消えてゆく。

バス通りと森を連続させようとした既存建物の意図を引き継ぎ、森から流れ込む木製の展示壁と床を加え、居場所として設えることで周辺環境を最大限に活かそうとした。周辺環境と呼応することで生まれるその場所固有の空間を追求していきたい。


写真:No.1-23 阿野太一

photo credit : No.1-23 DAICI ANO

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