タビ-ミセ

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札幌を中心に展開するフェでありロースターであるMORIHICO.のために製作した移動型店舗。物産展や催事では関東や関西など遠方にも出店することがある。その際に、商品のみならずカフェの空気感やブランドのコンセプトをも現地に届けることができるような移動型の店舗がほしい。移動型店舗に求められた要件を整理すると以下のようになる。

・コンパクトかつ安価に郵送できること
・容易に組み立てられること
・催事のなかで人を惹きつける存在感を示すこと
・エイジングを許容しMORIHICO.らしさを表現すること

この店舗はスチール製の脚部とひな壇下地、木製の天板と店構えをつくるやぐらによって構成される。やぐらをつけると最大でW1800×D820×H1900ほどの店舗となるが、全ての木製部分は長さ650mm以下の部品に分解され、キャスター付きのスチール脚部にコンパクトに収納すれば、まるでスーツケースを引くように容易に運ぶことができる。スチール部材と木部材の組み合わせ方により一台で三形態をとることができーフラット天板の店舗、ひな壇付き店舗、ひな壇とやぐら付き店舗ー、催事の特性に合わせて店の構えを変えることができる。

W1800の大きな店舗をコンパクトに郵送するために、天板を長手方向に三分割することにした。ジョイント目地が揃わないよう550mm,600mm,650mmの三種類の部品を互い違いに組み合わせて一枚板化し、さらに引張力がはたらいた際にジョイントが外れないよう雇い実を別に入れている。それにより木部のジョイントだけで一枚板の天板が組み上がり、一人でも設営することができる。端部の板のみボルトでスチール脚に固定することで、一枚板とキャンチ梁の間のような構造としている。組み立てが簡便になるよう、ボルトによる接合は最小限にとどめた。軽量化のため天板の無垢材は強度が期待できるギリギリの15mm厚とし、脚部の外装は薄い波板のみとした。やぐらは、蝶ナットの締緩だけで収納・設営でき、看板や照明を吊るすだけの耐荷重を備えている。輸送時の小さなコンテナのような佇まいは、周囲の環境をやわらかく反射して、旅先で色々な表情を見せるよう意図した。組立時には木製の上部構造だけが浮遊しているようにも見える。複数種類の無垢板が織りなすストライプ柄の天板は、催事のなかで個性的な表情を見せるだけでなく、どんなモノを置いてもそのモノの輪郭と色を際立たせる背景となる。

限られたスペースと期間、輸送コストのなかで、実店舗の空気を遠方でいかに魅力的にプレゼンテーションできるかという試みであった。
さて、今日はいったいどこを旅しているのだろうか。

撮影:瀧原界

タビ-ミセ

札幌を中心に展開するフェでありロースターであるMORIHICO.のために製作した移動型店舗。物産展や催事では関東や関西など遠方にも出店することがある。その際に、商品のみならずカフェの空気感やブランドのコンセプトをも現地に届けることができるような移動型の店舗がほしい。移動型店舗に求められた要件を整理すると以下のようになる。

・コンパクトかつ安価に郵送できること
・容易に組み立てられること
・催事のなかで人を惹きつける存在感を示すこと
・エイジングを許容しMORIHICO.らしさを表現すること

この店舗はスチール製の脚部とひな壇下地、木製の天板と店構えをつくるやぐらによって構成される。やぐらをつけると最大でW1800×D820×H1900ほどの店舗となるが、全ての木製部分は長さ650mm以下の部品に分解され、キャスター付きのスチール脚部にコンパクトに収納すれば、まるでスーツケースを引くように容易に運ぶことができる。スチール部材と木部材の組み合わせ方により一台で三形態をとることができーフラット天板の店舗、ひな壇付き店舗、ひな壇とやぐら付き店舗ー、催事の特性に合わせて店の構えを変えることができる。

W1800の大きな店舗をコンパクトに郵送するために、天板を長手方向に三分割することにした。ジョイント目地が揃わないよう550mm,600mm,650mmの三種類の部品を互い違いに組み合わせて一枚板化し、さらに引張力がはたらいた際にジョイントが外れないよう雇い実を別に入れている。それにより木部のジョイントだけで一枚板の天板が組み上がり、一人でも設営することができる。端部の板のみボルトでスチール脚に固定することで、一枚板とキャンチ梁の間のような構造としている。組み立てが簡便になるよう、ボルトによる接合は最小限にとどめた。軽量化のため天板の無垢材は強度が期待できるギリギリの15mm厚とし、脚部の外装は薄い波板のみとした。やぐらは、蝶ナットの締緩だけで収納・設営でき、看板や照明を吊るすだけの耐荷重を備えている。輸送時の小さなコンテナのような佇まいは、周囲の環境をやわらかく反射して、旅先で色々な表情を見せるよう意図した。組立時には木製の上部構造だけが浮遊しているようにも見える。複数種類の無垢板が織りなすストライプ柄の天板は、催事のなかで個性的な表情を見せるだけでなく、どんなモノを置いてもそのモノの輪郭と色を際立たせる背景となる。

限られたスペースと期間、輸送コストのなかで、実店舗の空気を遠方でいかに魅力的にプレゼンテーションできるかという試みであった。
さて、今日はいったいどこを旅しているのだろうか。

撮影:瀧原界
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