大きくて近いものと小さくて遠いもの

奥山先生のオープンハウス。卒制をお手伝いさせってもらった先輩の初担当ということで、とても楽しみにしていた。


外観は足元の軽いおおきな家型。コンクリート造。
左右がガレージ、正面の大きな開口は吹き抜けに面して2、3階にまたがり、中が良く見える。
外観はとにかく大きな建てものに見える。どこか異常なくらい大きい感じがする。ところが中は非常に関係が近い。狭いわけではなく、近い。
アトリエワンの家は外観の見え方に対して、内部が圧倒的に広く感じられる。というか遠い、のか。階段がスキップフロアを貫く構成。それぞれの場所と場所の関係に距離をつくることで獲得する広がり。これは撮影補助の時にも顕著。モノを移動したり、光の入り方を調整したりとカメラマン含め常に何人か同じ空間にいるのにも関わらず、みなそれぞれ写真の映らない場所に収まることができる。つまりはかくれんぼがしやすいというか。。それは少し冗談だけれども。まるで真逆なのは興味深い。
外観の特徴でもある、吹き抜けと巨大な開口を持つ2、3階の居室空間は明るく開放的で、最初に言ったように部屋と部屋、部分と部分の関係が近い。構成を把握しやすいシンプルでシンメトリーな平面形もそのような感覚を与える原因か。プランの幾何学からなんとなく身体が正対しようとする壁は、ほとんどが開口になっている。左右の開口は内部によってか微妙にシンメトリーではない。2、3階の側面の開口は縦にそろっているけど、多分2階の開口の位置によって決まっている。
2階は全体的に家具が低く抑えられている気がした。机も少し低い。その分天井が高く感じる。吹き抜けもそうだけどかなり上に向かうべクトルの強い空間だと感じた。階段室はコンクリート打放しで、居室の開放的な空間とは対極の、非常に閉じた重い空間。階段室の開口部はアルコーブになっていて、窓台の奥行きが異常に大きい。最初は玄関から入ってまずその階段室を通るから、窓台のコンクリートの厚みとそれによって生まれる光の奥行きによって、コンクリートの重さを感じることになる。でも居室に入ると非常に軽い。逆にキッチンのおさまる壁は100mmとかで、それもすごく薄く感じられる。



とにかくこの対比を意識的に強くつくろうとしていることはすごく伝わってくる。この対比のせいかわからないが、内部にエレベーターが通っていることが何故か全く意識されない。
外観の大きさと、内部で感じる距離の近さというギャップは今まであまり感じたことのない体験だった。あとはやっぱりふたつの空間の極端な対比。ものとしておもしろいと思う一方、そこにどういう意味があるのかはまだよくわかっていないけれども。

切妻がもう一枚の平面で切り取られている。不思議な幾何学。

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