興奮冷めやまぬ

スペイン・ポルトガルの濃密な旅を終えてはや2週間。
いい意味で自分の建築観をかきまわされて、大変な衝撃を受けたから、帰国してからも興奮冷めやまぬといった感じか。気がつくと東京もいい季節になってきたし、ちょっと腰をすえて考え事をしたいと思う。将来のビジョンも真面目に考えだして、まあ多少の不安がありつつも、やりたいことが溢れ出て、なかなか寝付けない。頭はフルスピードで回転している感があるけど、もう少し。まずは旅行中たびたび書き留めていたものを、ざっとまとめてアップしていきたい。本当にこの旅は自分にとって大きかったから。
 

 

二年前、有名建築の場所のみプロットされたざっくりした地図だけを頼りに、大きな荷物を背負って友と二人、わけもわからずヨーロッパをさまよった時とは見えるものが全然違う。
  

シザの建築は圧倒的。もちろんシザ特有のボキャブラリーや構成について語ることもできるが、一番衝撃的なのは、自分がその空間に存在しているという感覚から逃れることができないこと。客観的にみることができない。一方でひたすらに奇麗なんだけどすごくバーチャルに見える建築というものもある。内部にとりこまれているんだけど無視されているような、そういう感覚を与える建築がある。シザの建築はそれと真逆。今はそう伝えることしかできない。
彼が建築家として仕事をする枠組みはとてもしっかりしていて、建築家として社会的に強く信頼されているのがわかる。lisbonのchiado地区のリノベーション、evoraのsocial housing、boucaの集合住宅…。そしてそれぞれがすごく適切な大きさだという感覚を強く感じたのはおもしろい。スケールと言ってしまっていいのか、その辺は少し慎重になるべきだけど、「建築の大きさ」はとてもおもしろくて可能性のある話だと思う。初めてその実感を得る。シザもそこにとても敏感な建築家だと思う。坂本先生が近年よく語っているスケールの話、ちょうど今月の住宅特集の長谷川豪さんと西沢大良さんの対談とすごく関係がある。スケールそれ自体は神秘的なものでもなんでもないと思うし、それ自体に独立した価値を見出すのは嘘くさくてちょっと違うと思うけど、もう少し一般的なというか、建築と社会の問題として建築の大きさを考えることには、興味がある。

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